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IOSと三島市歯科医師会の研究チームが歯科医師の歯の健康状態調査を行い、不正咬合との関連性を明らかに   

最終更新: 3月7日





なぜ日本人歯科医師の歯の健康調査を行なったのか


日本人の歯に対する意識は世界とかけ離れている

~欧米では、歯医者は憧れる人・頼れるパートナー

日本では、歯医者は嫌いな人?~

 

15~69歳の日本・アメリカ・スウェーデンの男女3,600人を対象とした"オーラルケア に関する意識調査”の中で「あなたにとって歯科医はどのような存在ですか?」と訊ねる調査を行いました。

アメリカの場合、最多が「好きな人・憧れの人(40.3%)」、次いで「頼れるパートナー(32.6%)」という結果でした。スウェーデンでも「頼れるパートナー(26.3%)」「好きな人・憧れの人(16.4%)」と、アメリカと同様に好意的な印象が上位にあがりました。

 一方、日本では「頼れるパートナー(17.2%)」という好意的な回答も2割弱ほど見られるものの、「他人(23.9%)」「嫌いな人・苦手な人(14.0%)」といったネガティブな回答も上位に挙げられています。「好きな人・憧れの人」と答えた人はわずか1.9%という結果です。


 この調査報告以外にも、各国の人気職業ランキングから日本の歯科医に対するイメージの違いをみることができます。アメリカのランキングでは、歯科医師が毎年ベスト3に入っており、歯科衛生士も人気の職業。日本とは、歯科医師および歯科医療に対する価値観が大きく異なっています。また近年は、中国においても歯科医師は人気の職業となっており、中国都市部における歯科治療費は、すでに東京都心部の治療費と比べても高騰しているという話もあります。

日本人は欧米に比べ、予防では歯医者へ行かない⁉︎

~歯医者へ行くのは痛みが出てから~


 ライオン株式会社による2014年の調査で「直近1年間に歯の健康診断を目的として歯科医を受診した回数」を聞いたところ、アメリカでは「2回」と回答した人が最も多く、スウェーデンでは「1回」と回答した人が最も多いという結果でした。

 一方、日本で最も多かった回答は「直近1年間では受けていない」であり、57.5%の人が直近1年間では健診を受けていないという結果となりました。この「日本人が痛みが出た時にしか歯医者に行かない」という結果は、日本特有の健康保険制度が大きく影響していると思われます。

口腔ケアをどこで学ぶ?

欧米は“歯科医院で学ぶ”が基本、日本人は“自己流”



 口腔ケアに取り組むにあたり、欧米では半数以上が「歯科医師から教わった情報を参考としている」(アメリカ:51.3%、スウェーデン:61.3%)のに対し、日本は わずか30.8%にとどまっており、「特にどの情報も参考にしていない(自己流)」:41.3%が最多である、という結果でした。これは、日本人が歯科医院で適切な治療を受けていない、という可能性を示唆しています。

 口腔環境は、個人レベルの経済的、社会的な背景に大きな影響を受けるといわれています。日本は欧米諸国に比べると経済格差が少ない国。にも関わらず、都市部の上場企業で働くビジネスマンでさえも日本人は欧米諸国に比べ口腔健康への意識が著しく低い、ということがいわれております。

欧米社会の場合、歯が汚い=自己管理能力が低い、と考えられがちで、就職や仕事の上でも大きなマイナスであるとの報告もあります。この結果を鑑みるに、国際社会の中で日本人が活躍するためにも、歯科医療に対する日本人の意識改革は必要不可欠です。



日本の歯科医は本当に頼りにならない?


 そこで我々は、日本人が歯科医および歯科医院から口腔ケアのアドバイスを受けるにあたり「本当に信頼できるパートナーにはなり得ないのか」を検証するべく、歯科医師自身の口腔ケアおよび口腔内の健康状況の実態を調査してみました。

今回の調査は日本の歯科医療有資格者(歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士)を対象とし、アンケート調査、レントゲン調査を行いました。すると、以下の調査結果が出たのです。


※この調査はIOS包括的矯正歯科研究会ならびに静岡県三島歯科医師会の共同研究で、2019年6月にフランス ニースで行われたヨーロッパ矯正歯科学会にて発表いたしました。



 歯科医療有資格者は、歯が健康である


《調査結果》

 一般の方に比べると、歯科医師などの歯科医療有資格者は、歯が健康である

特に一般の方が歯を失う機会が急激に悪くなる中高年(50歳以上)の年齢層が顕著である


歯科医療有資格者の口腔ケアの特徴

◇歯磨きを1日2回以上行なっている

◇デンタルフロスを使用している

◇喫煙者が少ない


 歯科医療有資格者の方々は、毎日きちんと歯磨きを行い、かつフロスを使っている人が多いという結果となりました。適切な歯科知識は歯の健康に大きく影響します。また、喫煙は歯周病の罹患率を約5倍程度高めるということが明らかとなっております。



歯科医院で得られる知識は、歯の健康の維持に大切である。


 一般の患者さんも歯科医院に定期的に行くことで、正しい歯科知識を得て歯を健康に保てることがわかります。つまり、自己流で口腔ケアを行うより、欧米のように歯科医院で専門家から適切なアドバイスを受ける方が、明らかに歯の健康を保てるということです。



歯並びは、歯の健康に関係する?


 歯の健康を保つには、歯科知識が大きく影響を受けることが今回の結果でわかりました。

従来の研究では歯科的知識の均一化がなされていないために、不正咬合と歯の健康の関連性については、信憑性が十分では無いと我々は考えています。

 今回の研究では、歯科医療知識が高い有識者を対象に、歯並びや顎の骨格が歯の健康と関連があるかに関して調べました。

その結果、下顎下縁平面(下あごのライン)の角度が正常値から大きく離れてしまった場合、奥歯を失う可能性が高いということがわかりました。



歯の健康を保つためには、定期的な歯科医院への受診がおすすめ

歯並びも大切??


 歯の健康を保つためには、口腔ケアの正しい知識を持つことが非常に重要です。また、日本の歯科医療有資格者の口腔環境は、一般の方と比べて場合にとても健康であるということも判明しました。とはいえ、歯医者でも歯を失う場合があります。噛み合わせと歯の健康に関しては、未だ不明な点もあるのが事実です。

 

今回の研究からある種の不正咬合(悪い噛み合わせ)は、歯の喪失に高い相関性がある可能性が判明しました。

しかし、今回相関性が出た下あごラインの角度などは、顎顔面に関する骨格的不正咬合が隠れている場合があります。骨格的不正咬合の診断には、矯正学の専門的な診断が不可欠です。

さらに、すでに奥歯を補綴治療等で修復する必要があるケースもあるかと思います。このような場合には治療ゴールにも下顎下縁平面の角度を考慮した治療が必要である可能性もあります。


自分自身の歯を健康に保つために


 歯を健康に保つためには、自己流にならず歯のプロフェッショナルである歯科医へ定期検診をしてもらいましょう!定期検診は病気の早期発見ができるとともに、正しい口腔ケアのアドバイスをもらうことができ、みなさんの口腔状態をより良いものにすることができます。

 我々歯科医師は、日本でも欧米のように“頼りになるパートナー”として認めてもらえるように今後も努力してまいります。また、歯並びが気になる場合には、予防歯科に対しても総合的に対応が可能な“包括的矯正歯科治療”を専門とする歯科医院で相談してみてはいかがでしょうか?



【歯科医師の皆様へ】

 顎骨形態は、包括的矯正歯科治療のゴール設定においてもとても重要です。しかしながら、現在までどのような咬合がいいのかに関しては、明らかではありませんでした。今回の我々の研究結果は、下顎下縁平面が治療ゴールの設定においても重要である可能性を示したものです。今後、調査対象を増やし、さらなる検証を行なっていきたいと考えております。引き続き、“包括的矯正歯科治療”分野の発展にご支援、ご共感頂ければ幸いです。


 *本研究は、静岡県三島市歯科医師会の協力で行われました。関係者の方に深く御礼申し上げます。

 *医学情報には様々意見が存在しております。我々が配信している医学情報は、IOSが医学的視点から独自に解釈した私見が含まれます。予めご了承下さい。




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参考文献及び資料

1. マイナビニュース「歯科医は米国で「憧れの人」、日本で「●●な人」 - 世界オーラルケア調査」https://news.mynavi.jp/article/20140217-a067/

2. Doctorbook academy「日本における予防歯科への意識 Part2:海外との比較」

https://academy.doctorbook.jp/columns/shikaken2#

3. ライオン株式会社「日本・アメリカ・スウェーデン 3カ国のオーラルケア意識調査 Vol.2」https://www.lion.co.jp/ja/company/press/2014/pdf/2014050.pdf

4.Miyazaki et al/A study of model and cephalograms in elderly persons over 80 years old with at least 20 teeth/Orthodontic waves/2001.60(2)

5. 平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf

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▼執筆者

さとみ矯正歯科 https://www.satomi-ortho.com

院長 内藤聡美

東京医科歯科大学歯学部卒業

東京医科歯科大学矯正歯科入局

東京医科歯科大学大学院卒業

(医歯学総合研究科咬合機能矯正学分野)

日本矯正歯科学会認定医 

IOS Central Member & 矯正専門医チーム

“ Teeth Alignment The Specialist” 所属

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