AIを用いた歯科と矯正分野の動向について

更新日:8月19日


AIとは・・・

AI(Artificial Intelligence)とは『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学の一分野を指す言葉とされ、現在様々な分野でAIが活用されています。

AI関連の研究が大きく前進し始めた要因として2006年のディープラーニングの発明と、2010年以降のビッグデータ収集環境の整備、計算資源となるGPUの高性能化が挙げられます。

この辺りから医療の分野でもAIを用いた研究が多く行われ始めました。



歯科でのAIの活用

現在歯科領域でのAIを用いた研究は、顎骨病変の診断や虫歯の発見、歯根破折の診断といったレントゲン画像から診断を行うものに多く用いられており、画像診断とAIの相性の良さが考えられます。


歯科矯正でのAIの活用

歯科矯正の分野ではセファロレントゲンを用いた画像診断が非常に重要になっており、このセファロ分析を自動で行う研究が2008年以降行われてきました1)。しかしセファロを用いた2次元的解析では左右での重なりや被写体の拡大率などの問題から、現在ではCTを用いた3次元的な自動解析の研究も進められています2)3)。




AI分析ソフト【Web Ceph】について 

現在、AI技術を用いたセファロ分析ソフトが多数存在しています。今回は2021年に韓国で開発されたセファロ分析アプリ【Web Ceph】に関して紹介します。



このアプリのサービス内容としては、

①患者情報管理

②セファロ自動分析

③治療シミュレーション

④診療スケジュール管理

⑤患者との双方向のコミュニケーション機能

⑥ドクター間の情報共有など

セファロ分析に関してはその精度は予想以上であり、自動トレースは約1秒で完了し、また各計測点の微調整も容易であるためにとても使いやすくなっています。患者情報管理として治療前後の重ね合わせなども含め資料の作成や整理も容易な操作で簡単に行うことができます。


ただし、問題点としては以下の点が挙げられます。

① 模型分析と正面セファロ分析ができない(正面は今後機能追加される予定)

② 歯の移動や外科矯正のシミュレーションはできるが、咬み合わせは考慮できない

③ モーフィングによる治療後の顔貌予想の作成は可能であるが精度は不明

④   個人情報の漏洩や国外への研究資産情報の流失

⑤   サービスの永続性に不安がある


今後のAI分析ソフトとして正確な矯正診断を行うためには、アライナー型矯正装置作成時に行う歯牙移動のシミュレーションのような機能を追加し、さらにCTデータなども活用し、セファロ分析、模型分析、評価、診断、治療目標、治療計画の立案、治療シミュレーションまでが一括で行える診断ツールの開発が必要であると思います。また、国内外への情報の流失や漏洩、突然のサービス終了などのトラブルにも十分に気を付ける必要があります。

 IOS研究チームにおいても、今後AIを活用した新しいクラウドシステムや革新的なサービスなどにはあらゆる可能性を含めて引き続き注目していきたいと思います。



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参考文献)

1)Angle Orthod. 2008 Jan;78(1):145-51.doi: 10.2319/120506-491.1.

Rosalia Leonardi, Daniela Giordano, Francesco Maiorana, Concetto Spampinato


2)Aust. Dent. J. 2017;62:33–50. Scarfe W.C., Azevedo B., Toghyani S., Farman A.G.


3)Annu Int Conf IEEE Eng Med Biol Soc. 2011;2011:6204-7.

Erkang Cheng, Jinwu Chen, Jie Yang, Huiyang Deng, Yi Wu, Vasileios Megalooikonomou, Bryce Gable, Haibin Ling

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