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2024.07.04

2024年 IOS 第二回例会が無事に終了いたしました


2024年 IOS 第二回例会が2024年6月30日(日)に終了いたしました。

第二回例会は『インハウスアライナー 生成AIが歯科界にもたらすもの』をテーマに開催いたしました。

第二回例会のまとめを下記に掲載いたします。

6 月 30 日(日)、野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都)にて 2024 年 IOS 第 2 回例会(大会⻑:行田⻑隆先生)が「インハウスアライナー:生成 AI が⻭科界にもたらすもの」をテーマに開催された。現地には開業医から大学関係者、企業会員まで約 40 名が参加し、オンデマンド登録は約 25 名、合計 65 名が参加し盛会となった。

開催に先立ち、綿引代表理事から先日の EOS ヨーロッパ矯正学会での講演報告と、本会へのグローバルスタンダードな症例発表である CARE の導入に関する 方法が説明された。また、大会実行委員⻑の市川雄大副代表理事から、来年度の学会に伴う学生準会員の創設と⻭科衛生士会員の会費変更についての案内があり、今後 IOS では「アカデミック」「多様性」「フラットな組織体制」という 3 つのキーワードで活動していく方向性が示された。

近年、デジタル化および人工知能(AI)技術が急速に進化し、⻭科分野のみならず社会に様々な恩恵をもたらしている。そこで、本会ではインハウスアライナーを臨床に取り入れ矯正治療をされている間所睦先生と生成 AI を利用した次世代セファロ分析 DIP Ceph を開発 された内田友幸先生にご講演を頂き、“デジタル&AIの発展が⻭科界にもたらすもの”というテーマでディスカッションを行ったので報告する。 

間所先生は、アライナー矯正治療、特にインハウスアライナーの現状と課題に関して講演を されました。デジタル技術によるシミュレーションから3D プリンティングにより再現さ れた装置であるアライナー矯正治療。一方で、インハウスライナーは従来のアライナーシス テムに比べて、シートの素材の選択や形状など自由度が向上し、患者個人の移動状況に合わ せた細かい調整が可能となります。しかしながら、⻭の動きのシミュレーションに対して実 際の生体への再現率は約50%という事も判明しており、様々な工夫やテクニックが生み 出されているものの、いまだに全てを保証する科学的なコンセンサスは得られていない。以 上から、インハウスアライナーの安全性、製造、治療効果の課題はあるものの、デジタル技術の発想を形に変え、シートの素材の自由度など工夫をする事で、よりカスタマイズされた⻭の移動が可能となる。

次に、「AI は津波のように全ての根底を変えて行く」という言葉から始まった内田先生の講演。AIに「この X 線レントゲン写真をセファロ分析し、矯正治療方針を立てて下さい」と 質問すると多くの答えが返ってきます。ここで AI の恐ろしいポイントは、AI 開発者はセファロ分析も知らないし、治療方針も立てられないという事である。しかしながら、AI は勝手にやっている。このように、AI は単に単語の組み合わせの統計的な偏りだけを見ているが、10 兆文字のテキスト全部の統計的な偏りを集めるともはや知性となり、画像認識や天気予報も出来てしまう世の中になる。知能爆発した AI の世界がどのような世界になるのかは、想像もつきません。しかしながら、これから訪れる混乱期を、リスクと可能性を理解した上で活用しながら正しい活路を見出すのが良いとの事であった。

以上から、デジタル技術、生成 AI 技術の発展に伴い、⻭科分野において様々な恩恵をもたらしている。一方で、安易に技術を取り入れることが出来るので、より一層一医療人とし ての倫理観、素質が問われるという人間としての本質的なことをしっかりと考えていかなければならない。

午後は、篠塚有希先生「重度叢生と⻭肉退縮を伴う上下顎前突患者に対して DIP 法を用いて治療を行った一症例(タイポドント)」と、和田明大先生「下顎後退を伴う上顎前突症に対し、包括的矯正治療によって審美と機能の回復を行った一症例」の二名の先生による会員発表が行われました。本会から国際基準である CARE に沿った発表形式を取り入れたため、エビデンスに基づいた発表内容であり、診断、治療結果の考察などより深みのある講演で会員間の活発なディスカッションが行われました。

次回、第 3 回例会(9 月 29 日)では、特別講演として「オーストリアンナソロジー」 で有名なスラビチェック先生のクリニックで⻑年矯正専門医として勤務していた宮川順充 先生をドイツから特別演者としてお迎えし、「仮)非抜⻭矯正とオーストラリアンナソロジーの真実」というテーマでお話しいただきます。また、次世代 MFT の可能性について阿部 恵美子先生(言語聴覚士)と内藤和美先生(⻭科衛生士)をお迎えし、熱いディスカッショ ンを予定しております。ぜひ、現地でのご参加をお待ちしております。


例会の様子の一部をご紹介させていただきます。

IOSより白金高輪矯正歯科の間所睦先生から「内製化によるアライナー矯正の課題解決と将来」
IOS顧問のDental Brain株式会社 CTO、内田友幸様から「急速なAIの発展がもたらす歯科分野への影響について」

大変貴重なご講演をいただきました。

会員発表では、包括的矯正歯科治療マスターコース第1期生の篠塚 有希先生より「重度叢生と歯肉退縮を伴う上下顎前突患者に対してDIP法を用いて治療を行った一症例(タイポドント 実習症例)」

東京日本橋AQUA歯科矯正歯科包括CLINICの和田明大先生より「下顎後退を伴う上顎前突症に対し、包括的矯正治療によって審美と機能の回復を行なった一症例」についてご講演いただきました。


ご参加いただいた先生方、誠にありがとうございました。

また、例会開催までに尽力いただいたIOS運営メンバーの皆さんもお疲れ様でした。

次回の例会は下記を予定しております。

第3回:2024年9月29日(日)

今後ともIOSを何卒よろしくお願いいたします。

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